KOUBAレポート!

By aza, 10月 21, 2016

―開け、KOUBA!

2016年10月8日。あいにくの雨の中、向かうは新潟県にある燕三条。道を歩けばピンクのストライプで装飾された工場やお店がそこかしこにあり、人で賑わっています。そう、ここでは年に一度、燕三条エリアを中心とした工場を一斉に開放し、ものづくりの現場を体感できるイベント「燕三条 工場の祭典」が開催されているのです。

 

4回目となる今年は、工場だけではなく、米どころとしても有名であることから「耕場(こうば)」と称して農園もオープンにし、私たちを迎え入れてくれました。普段はなかなか一般人が足を踏み入れることができない場所を訪れ、職人さんや農家さんの手仕事を堪能したり、ワークショップで作る楽しさを体験したり、ご飯や農産物を頂いてその美味しさを体感したり…。ずっと近くにものづくりを感じることができます。
もう一つ、今年の大きな特徴は、メイン会場である三条ものづくり学校と中川政七商店とのコラボレーション!工場の祭典に合わせ大日本市新潟博覧会の開催と、トークイベントやワークショップに、ライブ演奏も行います。

それでは、早速行って参りましょう。開け、KOUBA!

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ピンクのストライプは工場の祭典のメインアート。工場や農園、カフェなど参加している場所では車や窓、柱にも分かり易いようにピンクのナナメストライプが施されていました。

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三条ものづくり学校に入ると出迎えてくれたのは、中川政七商店のシンボルでもある鹿のオブジェ。日本文化の「温故知新」の精神をもって新旧の対比をテーマにしたもので、中川政七商店300周年を記念して製作されました。大日本市博覧会にて全国に展示されています。

 

“伝統工芸のよさ・匠の技を感じられる「旧」の鹿と、最新のデジタル技術によって創られた「新」の鹿をとおして三百周年へ向けた中川政七商店の熱量を発信します。
“-中川政七商店HPより引用

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体育館で行われている大日本市。大きな凧には「新潟博覧会」の文字が。シンプルな木の展示とは対照的な鮮やかな青が映えます。

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新潟博覧会とのコラボレーションとして、「食」の限定商品も。

燕市にある銅器を製造している玉川堂の器でTHE COFFEE TABLEの水出しコーヒーを提供するスタンドバーが期間中に登場。違いを体感するため、ガラスのカップと玉川堂の器と飲み比べができるようになっていました。
飲み比べると味の違いは歴然。元々美味しいコーヒーですが、より酸味がマイルドになり飲みやすくなっていました!

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新潟博覧会コラボレーション、続いてはおむすびです。

燕市で27代続くひうら農園の新米を、同じ新潟で農園をやっているそら野テラスが結びます。具材やお結びのお供には梅干しやしいたけ、からし巻きなど新潟の食材を使用している贅沢なお弁当。もちもちのお米は風味が甘く、どの具材にも合いおいしい!ぺろりと平らげてしまいました。それを包むのは中川政七商店オリジナル手ぬぐい。300周年の限定のものです。

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ものづくり学校では、大日本市博覧会以外にも展示が行われています。こちらは、富山県高岡市で行われた高岡クラフツ―リズモの展示の様子。写真はその中でも特に目を引いた一枚です。なんと、車輪の部分はリン棒*でできているんだとか。よく見ると、右にある水受けも大きなリンです。吊り下げられている風鈴は、ガラスではなく銅器。高岡のものづくりを現した面白い展示となっていました。

*リン棒・・・リンを叩く棒。リンは木魚などの仏具の一種。リンとして音色が特徴。

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三条ものづくり学校の事務局長である斉藤さんに勧められ、私たちは工場見学に参加しました。「サントク」の愛称で知られる三条特殊鋳工所は、鉄やアルミ、チタンなどを熱し液体状にしたあと、型に流し込み固める鋳造を行う工場。最初に説明を受けてから、2つのチームに分かれて見学スタートです。

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私たちのチームの案内をして頂いたのは、工場長の田口圭一さん。

工場内は何かを燃やしたような、独特の臭いが漂います。これは砂型*を作るときに使う樹脂が燃えたときの臭い。砂型は、パイプから出てきた砂に樹脂をコーティングし、熱を加え固めて作ります。

*砂型・・・砂で作った型

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積み重ねた砂型に、溶かした鉄を流し込みます。温度は1,400度以上にものぼり、砂型に含まれる樹脂が激しく燃えているのが分かります。この工程には一瞬にして惹き込まれました。時間がかかるとすぐに固まり始めてしまうため、職人さんは素早く、慎重に流していきます。「鋳造の中でもとくに難しい作業」と田口さん。

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鋳物の仕上げは手作業で行われます。出来上がった製品で手を切らないように、スポンジが引っかからないようにするためには、どうしても機械だと不完全です。こうしてひと手間加えることで、より洗礼されたものが生まれるんですね。

ちなみにサントクで使用される砂型は、樹脂が燃えて砂に戻るため再利用しているそうです。エコですね。

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ものづくり学校さんとの企画で取材させていただいた、ステージえんがわにもお邪魔しました。ステージえんがわは、誰でも利用できる空間デザインを高く評価され、なんとグッドデザイン賞を受賞されたそうです。おめでとうございます!

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まだまだ燕三条の夜は終わりません。工場をステージに、プロのギタリストと職人さんがユニットを組み、「奏でる工場」が開催。なんと楽器は工場にあるものも使用しています。残念ながら時間に間に合わず、演奏を聴くことはできなかったのですが、普段とは違った、工場の雰囲気を味わうことができました。

2013年から始まった「燕三条 工場の祭典」、今年は92もの工場や耕場が参加する大規模なイベントに成長を遂げていました。こうしたオープンファクトリーの動きは全国各地に広がっていますが、燕三条の職人さんの類まれなる技術や想いに魅せられる「工場の祭典」は特に注目を集めています。今年は学生も多く訪れており、今後の動きにも期待が高まります。たった一日しか滞在しませんでしたが、「工場の祭典」に関わっている皆がとても楽しそうにしているのを見て、わくわくが止まらない百景メンバーなのでした。

Photo by Nobuhiro Toya
Text by Mariko Yamazaki